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樹齢およそ350年のケヤキにチェンソーを使って新たな命を吹き込み、芸術作品に生まれ変わらせた人たちがいます。「動物園に置いてもらえて嬉しい。定期的に管理したい」と話しています。
高橋 眞夫さん、高橋 敏雄さん
森の賢者と称されるフクロウの群像を刻んだ大きな木彫刻が置かれているのは、市大森山動物園のビジターセンターとミルヴェ館の中間あたり。素材となったのは、市立秋田中央病院の駐車場を整備した際に伐採・撤去された樹齢およそ350年のケヤキの巨木だ。
一昨年、下請けの造園業者として撤去を任された樹医・高橋敏雄さんは、当初、幹や丸ごと掘り出した大きな根を細かく裁断して廃棄するつもりだった。だが秋田の歴史を見つめてきたケヤキに新たな命を吹き込めないかと思案。チェーンソーアートを趣味にしている元大工の兄・眞夫さんがこれを預かり、1ヶ月ほどかけて完成させた作品という。
その後、地域のために役立てたいと考えた2人が作品の寄贈先を探していたところ、たまたま同動物園の売店経営者と眞夫さんが懇意にしていたことから「大森山動物園にぜひ」とオファーを受けて快諾。園側と話し合い、この春の開園に合わせて現在の場所に設置することが決まった。
大きな目が愛らしいフクロウの群像は、ケヤキの幹の造形を生かして彫られており、その姿はまるで「動物たちの森」を見守っているかのよう。3月29日に設置状態の確認に訪れた眞夫さんと敏雄さんは、子ども達が興味深そうに木彫り像に触れる様子を目にし、満足そうに微笑んでいた。
敏雄さんは「年輪が細かくて正確には数えられなかったが、地元の言い伝えなどから樹齢は350年ほどと推定している。秋田の変遷を見つめてきたケヤキを市民の皆さんの目につくところに置いていただいて嬉しい」と話し、今後も自分たちの手で保守管理していく考えを示している。
写真:木彫刻と高橋さん兄弟(左・眞夫さん、右・敏雄さん)