紹介内容や役職等は、掲載時のものであり、現在のものとは異なる場合があります。個別の内容、連絡先についての問合せには応じておりません。
詳しくは、本Webサイトのトップページをご覧ください。
トップページはこちらから
本を通じて人がつながる場として、私設図書館を開設した人たちがいます。「本が集まり、人が集まる場には、本と人がつながってもたらす空気感が存在します。それを大切にしていきたい」と話しています。

天雲 成津子さん
私設図書館「本庫HonCo」

私設図書館「本庫HonCo」の内部

プレゼンテーションも可能
>活動のきっかけは何ですか。
筑波大学の博士課程に属していた折、高齢化が進む現状と図書館の活動について問題提起した『高齢社会につなぐ図書館の役割』という本の出版刊行に関わって、秋田県の活動を紹介しました。読書活動を政策として掲げた秋田県の現状や、本を人とのつながりが保てる図書館の可能性、読書のある暮らしの意味を取り上げたものです。勤務していた図書館での体験から、図書館の可能性を確信していましたが、公共施設ゆえの難しさもありました。転機となったのは、東日本大震災です。多くの人が感じたように自身の生き方を考える機会となり、できることはやろうと私設図書館建設に向け、具体的に動き出しました。紆余曲折を経て平成26年の秋、建物は完成しました。その後、多くの人たちから支援を頂きながら図書館開設に向け準備を進め、平成27年6月に会員制私設図書館「本庫HonCo」をスタート、現在に至っています。
>活動内容を教えてください。
月・水・日曜の開館日に、会員同士で本と人との空間を楽しんでいますが、会員以外の方も参加できる講座や講演、行事を開催しています。大体2カ月に1回のペースで行われている「本の力」と題した講演会の講師は様々です。平成28年の例ですと東日本大震災後、国際ボランティア団体スタッフとして被災地で移動図書館を始めた鎌倉幸子さんをお招きして、仮設住宅の住民の利用の事例から図書館の魅力を話してもらいました。また全国で展開する「まちライブラリー」の提唱者、磯井純充さんからは、本を媒介にしたコミュニティづくりについて講演してもらいました。古典尺八や、秋田の酒を鑑賞する催し、会員による講演など多数開催しています。現代詩をテーマにした講座や読書会など、多くの会員の支援を得て、会員以外の人も参加できる催しを開催しています。
>今後やってみたいことは何ですか。
主催する側も楽しみながら、参加する側と本と付き合う楽しさを共有していきたいです。私たちが住む秋田は宝の山で、有為な人材が数多くいらっしゃいますし、文化も自然も誇れるものが沢山あります。問題は、その発信力です。でもそれも、その意味をきちんと知り、伝える努力をしていかなければなりません。なぜなら、時は待ってくれないからです。