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根子番楽で知られるマタギの里に移り住み、マタギの文化や人々の暮らしを写真に記録している人がいます。「新しい人が加わることで地域が変わり、元気になると感じます」と話しています。

根子番楽で知られるマタギの里に移り住み、マタギの文化や人々の暮らしを写真に記録している人がいます。「新しい人が加わることで地域が変わり、元気になると感じます」と話しています。
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船橋 陽馬さん

県北 / 北秋田市 / くらし/環境/自然
山中を歩く

山中を歩く

仲間と一緒に

仲間と一緒に

 男鹿市の出身で、北秋田市の根子(ねっこ)集落に移り住み、現役のマタギをしながら写真家として活動している船橋陽馬さんにお話をうかがいました。

>写真をはじめたきっかけは何ですか。

 以前、ファッションの専門学校に通っていたので、ファッション雑誌に触れる機会が多くありました。雑誌には、文化やサブカルチャーなど、様々な情報が詰まっています。自分は子どものころから、雑誌で情報を得ていたので、自然にファッション雑誌にも触れることになりました。
 雑誌は視覚的に情報が入ってきやすいのが強みですが、そこから写真のもつ力を学びました。写真の、人に対する影響力や訴える力は、他に類を見ないほど大きいと感じ、写真の力にとりつかれました。そこで、美術大学に入り直し、写真コースで基礎を一から学びました。美大では芸術としての写真は学びましたが、商業的な部分については学べないため、そこは知り合いのフォトグラファーについて、現場で教えてもらいました。大学卒業後、写真家として独立して4年くらいになります。

>今、力を入れていることは何ですか。

 北秋田市の根子集落に移り住んで、マタギや根子番楽の文化を伝えるため、写真に撮り続けて記録しています。自分でもマタギをしていて、頻繁ではないですが、仲間と一緒に山に入っています。実は、山を歩いていても、そうそうクマに会えるものではありません。9割方は山を歩いて帰ってくるだけです。
 しかし、山を歩くということは、地域を知ることです。昔の人が、山菜やキノコを採りながら生活の足しにしてきた経験に学び、思いを馳せています。
 また、最近は集落の若い人たちと一緒に米作りも始めました。やはり集落に休耕田が多いのは寂しい感じがあるということで、素人でも力を合わせれば米が作れるんじゃないかという話になって、実際にやってみました。無農薬での米づくりは思ったより難しく苦労したのですが、団結力があり、みんなで積極的に何かをしてみようという意識があるところが、根子集落の魅力のひとつだと思います。
 今の時代、人が少なくなり、文化が途切れることも当たり前になっています。しかし、今いる人で日々の暮らしを楽しもう、同じ時間を過ごすことで気持ちを共有しようという意識で、米を作りました。仲間同士で盛り上がり、「お疲れ様」と言いながら一緒にお酒を飲む時間が、何より大切な時間だと感じています。
 それから、学校で写真について教える活動も行っています。先日、五城目第一中学校の3年生に、昔ながらの印画紙を使った写真について教える機会がありました。ピンホールカメラを自作し、印画紙に投影して、現像の工程も学んでもらいました。もちろん今の主流はデジタルカメラで、昔より気軽に写真が撮れるようになっていますが、だからこそ、カメラや写真の本来のよさを学んでほしいと思いました。卒業を間近に控えた生徒たちは、思い出の場所を残すため、気持ちを込めて写真をとってくれました。デジタルの写真とは違った、不思議な感覚を感じていたようです。写真の世界に半歩踏み出せるような、楽しい感覚をもってくれたらうれしいと思います。

>今後の抱負を教えてください。

 自分が根子に移住してみて感じたことですが、移住者が一人でも増えると、地域が元気になります。特に小さな集落は、人が少ない分だけ一人ひとりのもつ影響力が大きいので、一人でも新しい人が加わることで地域が変わり、元気になると感じます。
 自分の経験が移住してくれる人への後押しになるために、積極的に情報を発信して、興味をもってくれる人を増やしたいと思っています。
 最近は、地域を元気にしようとして頑張っている人が増えてきたと感じます。同じ意識をもった人同士でつながりを深め、少しずつでも地域をよくしていきたいと考えています。

 

 

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